【症状別】不眠症の種類や原因、適切な睡眠薬選びのポイント

不眠症について解説

不眠症とは

不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

日本では、成人の5人にひとりが不眠症を患っているといわれています。
国民病ともいえるほどポピュラーな疾患ですが、現れる症状は人それぞれ。
「眠れなさ」の種類は、入眠障害・熟眠障害・中途覚醒・早朝覚醒の4つに分けられています。
また不眠を生じる背景には、さまざまな要因が隠されています。

 

入眠障害とは 熟眠障害とは 中途覚醒とは 早朝覚醒とは

不眠症の原因

不眠症の原因は大きく5つに分類され、それぞれの頭文字をとって「5つのP」と称されています

Physical(身体的原因)
喘息による咳や息苦しさ、アレルギーによる肌のかゆみや痛み、加齢による頻尿など、肉体的な不調によって睡眠が妨げられているケース。
Philological(生理的原因)
就寝環境が原因で睡眠が妨げられるケース。寝室が明る過ぎる、室温が暑過ぎたり寒過ぎたりする、寝具が身体に合っていないなど…。
睡眠のリズムが乱れてうまく寝つけない場合も該当します。
Psychological(心理学的原因)
悩みや心配事で頭がいっぱいになる、楽しみなことがあって興奮しているなど、心のバランスが揺れ動いるせいで眠れない状態です。
Psychiatrica(精神医学的要因)
うつ病や神経症、統合失調症といった精神疾患の症状として、不眠を生じる場合があります。
Pharmacological(薬理学的要因)
服用中の薬剤が原因で寝つけないケースのほか、タバコやお酒、コーヒーなどによる覚醒作用で寝つけない症状を指します。

入眠障害とは

「さぁ寝よう」と横になってから寝つくまでに30分~2時間以上かかる症状を入眠障害といいます。

単に寝つきが悪いだけではなく、

・寝つくまでに数時間を要する
・なかなか寝つけないせいで睡眠時間が減り、日中の活動に影響をおよぼしている
・上記の症状が、週に2回以上のペースで1ヵ月以上続いている

といった条件に当てはまる人は、入眠障害が疑われます。

不眠症の中でもっとも多く、自覚しやすいタイプです。

入眠障害になりやすい人

入眠障害は、ストレスや不安を感じやすい人に起こりやすいといわれています。
過度な緊張によって脳が刺激され、入眠や睡眠の維持が阻害されてしまいます

入眠障害に適した睡眠薬

入眠障害の改善には、スピーディーに効果を発揮する超短時間作用型睡眠薬が有効です。
「眠りたいのにいつまで経っても眠れない…」というストレスがなくなるほか、有効成分の代謝が速いので翌朝に持ち込むことなくスッキリと目覚められます。

素早く効く睡眠薬
アモバン、ルネスタ、ハルシオン、マイスリーなど

熟眠障害とは

十分な睡眠時間がとれているにも関わらず、しっかり眠ったという満足感が得られない状態を熟眠障害といいます。

睡眠サイクルの乱れが原因で、睡眠時間のわりに脳は休めておらず「夜中じゅうウトウトしただけで時間が過ぎてしまった…」と翌日に疲労感を持ち越してしまいます。

熟眠障害になりやすい人

熟眠障害は、中高年~高齢者に起こりやすい不眠症状です。

人間は睡眠中に、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を約90分おきに繰り返しています。
しかし加齢とともにノンレム睡眠の時間が減ってレム睡眠の割合が増えていくため、熟眠障害を生じやすくなるのです。

熟眠障害に適した睡眠薬

熟眠障害の治療には、短時間~中時間作用型の睡眠薬が用いられます。
一定の睡眠時間を確保できるものの、翌朝にも眠気を引きずったり日中にボンヤリしてしまったりといったデメリットには要注意。
睡眠薬を服用する時間帯や用量のコントロールが必要です。
また抗うつ剤を併用して、眠りを安定させる場合もあります。

深い眠りをキープする睡眠薬
デパス、レンドルミン、ロヒプノール、サイレース、バスパーなど

中途覚醒とは

夜中に何度も起きてしまい、睡眠がこま切れになってしまう症状を中途覚醒といいます。

タバコやコーヒー、アルコールといった嗜好品による脳の覚醒や、加齢による睡眠サイクル変化が主な原因。
脳や身体が十分に休息できず翌日にダルさや眠気を引きずり、仕事や家事といった日中の活動に支障をきたしてしまいます。

中途覚醒が起こりやすい人

中途覚醒は、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが変化しやすい中高年以上の世代に多くみられます。

また寝酒や夜食の習慣がある人も要注意です。

中途覚醒に適した睡眠薬

中途覚醒には、朝までグッスリ眠れるよう短時間~中時間作用型の睡眠薬が適しています
夜を通して睡眠を維持できる半面、ダルさや眠気、ふらつきなどの持ち越し作用には注意してください。

一定の睡眠時間を確保できる睡眠薬
デパス、レンドルミン、ロヒプノール、サイレース、バスパーなど

早朝覚醒とは

早朝覚醒は、起床の予定時刻よりも2時間以上早く目が覚めてしまう症状です。
一度目が覚めてしまうと再び寝つくことが難しく、睡眠不足のまま朝を迎えてしまいます。

起きるのが早過ぎても、昼間に眠気や疲労を感じることがなければ問題ありません。
十分な睡眠がとれていないせいで日中の活動に支障をきたしていたら、早朝覚醒と判断します。

早朝覚醒が起こりやすい人

早朝覚醒は、体内時計のリズムが変化している高齢者に現れやすい症状です。
またうつ病の典型的な症状でもあり、診断基準のひとつでもあります。
悩みや不安を抱えている状態が続くと、脳の緊張は続いたまま…。良質で安定した睡眠を維持することが難しくなってしまいます。

早朝覚醒に適した睡眠薬

早朝覚醒の改善には、短時間~中時間作用型の睡眠薬を用います。
しかし作用時間が長い睡眠薬は、起床時に倦怠感や眠気を引きずりやすいのがデメリット。
スッキリと起きて日中をアクティブに過ごすためにも、摂取用は最小限に留めておきましょう。

睡眠を朝までキープする睡眠薬
デパス、レンドルミン、エバミール、リスミー、サイレース、バスパーなど

睡眠薬以外の不眠症治療

不眠症の治療方法は、睡眠薬の服用だけではありません。
睡眠を妨げている習慣を見直し、「しっかり眠らなくては…」という思い込みやストレスを減らしていくことも大切です。

生活習慣の改善

・朝食を摂り、夕食は就寝の2時間前までに。夜食は控えめに
・就寝前のカフェイン摂取や飲酒、喫煙は控える
・朝日が入る部屋で就寝する

人間の身体には本来、陽が昇ると覚醒して陽が沈むと休息モードに切り替わるリズムが備わっています。
睡眠を妨げる習慣を改めて、正しい睡眠サイクルを身につけましょう。

精神療法

・不眠の原因となっている悩みやストレスを見極め、改善する方法を探す

とくに若い世代の不眠症は、メンタルの不調が大きく影響します。
睡眠薬の服用と並行して、心の緊張状態を解消していく必要があります。

リラックス療法

・就寝前に肉体の緊張をやわらげる(入浴やストレッチなど)

身体がこわばっている状態では、スムーズな入眠は困難です。
入浴や適度な運動によって副交感神経(自律神経のひとつで休息を司る)の活性を高め、入眠と睡眠の維持を助けます。

高照度高療法

・身体に2,500~3,000ルクスの高照度光を照射し、睡眠や体温をコントロールする
(昼夜逆転の勤務体制や生活リズムによる不眠の場合)

医療機関で受けられる治療法で、人工的に朝日を再現して身体へ照射します。
太陽光を浴びると体内時計の乱れが正されていくため、「夜になると眠くなる」という生理的な身体反応を起こしやすくします。