睡眠不足によって引き起こされる病気

不眠症によって睡眠不足が続くと、疲れがとれない・昼間に眠くなるといった弊害が現れます。しかし、身体への影響はそれだけではありません。

睡眠時間の少なさは、生活習慣病やうつ病の発症率を高めることがわかっています。

身体の疾患

睡眠不足による身体への影響
・レプチン(食欲抑制ホルモン)が減少し、グレリン(食欲増進ホルモン)が増加する
・交感神経優位の状態が続くため、血圧が下がらない

睡眠不足は、ホルモンや自律神経のバランスの乱れを招きます
グレリンの増加によって空腹を感じやすくなり、「つい食べてしまう」という状態に。
睡眠時間が短い人は、しっかり眠れている人と比べて肥満になりやすいといわれています。(体内時計.jp

また起きているあいだは、交感神経が優位の状態です。
交感神経は活動をつかさどる自律神経で、運動や心拍数を増やして血管を収縮、血圧を上昇させます。
つまり起きている時間が長ければ長いほど、高血圧でいる時間も長くなるということ。
高血圧は動脈硬化を招きやすいだけでなく、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血といった重大な病気の発症リスクを高めます

生活習慣病

生活習慣病とは?
食事や運動・喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が深く関与し、発症の原因となる疾患の総称。
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

生活習慣病は、動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・脂質異常症などを指します。

睡眠時間が不足したり就寝時間がバラバラだったりすると、糖や脂肪を分解するホルモン・コルチゾールの分泌量が減少。
不眠によって食欲が増進するうえ、摂取した糖や脂肪が血管内に蓄積するため動脈硬化を生じるリスクは格段に上昇します。
心筋梗塞や脳梗塞になりやすいだけでなく、血中にあふれた過度な糖分は糖尿病の大きな要因に。

2005年にアメリカで行なわれた調査では、睡眠時間が7~8時間の人に比べて5~6時間睡眠の人は糖尿病の発症リスクが1.7倍、5時間以下の人は2.5倍という結果が出ました。

腎臓、肝臓の病気

・肥満は肝臓に負担を与える
・免疫力の低下が腎臓の機能低下を招く

「グッスリ眠れない」「寝不足でダルい」という状態が続くと、人間に備わっている免疫力は低下してしまいます。
免疫力の衰えは腎臓の働きを弱めるため、身体にとって不要なものを排出する力も減少。
むくみや倦怠感、貧血のほか、急性腎障害や腎不全を生じやすくなってしまうのです。

また糖の過剰摂取は肝臓に大きな負担を与えます。
肝臓は糖を分解してエネルギーに変換するのが仕事ですが、糖が多すぎると分解が追いつきません。
余った糖は肝臓に溜まり、やがて脂肪肝へと発展。脂肪肝は、肝臓がんや肝硬変に進行していきます。

精神系の疾患

睡眠不足による脳への影響
・自律神経のバランスが乱れ、うつ病を発症しやすくなる
・脳の海馬が小さくなり、記憶力や認知能力に支障をきたす

不眠はうつ病の典型的な症状ですが、不眠が原因でうつ病になることもあります
また睡眠不足が続くと記憶を司る海馬という器官が萎縮し、記憶や学習、認知といった能力が低下してしまいます。

うつ病

不眠の慢性化・長期化はホルモンの分泌を乱し、自律神経の機能低下を招きます。
自律神経には、活動時に優位になる交感神経と休息・睡眠を司る副交感神経があります。
不眠=交感神経優位の状態が続くということは、脳は常に興奮・緊張しているということ。
うまく休めない時間が続くと頑張り続けるエネルギーが枯渇し、何事に対しても意欲が湧かず気分が落ち込むといった状態に陥ってしまいます

うつ病のサイン
・憂うつで沈んだ気分が続く
・何に対しても興味が湧かない
・疲れやすく、いつもだるい
・集中力が続かない
・食欲が湧かない
・心配事や不安が頭から離れない
・なかなか寝つけず、眠ってもすぐに目が覚める
・夕方と比べて朝の方が体調や気分がすぐれない
・自分は価値がない人間だと感じる

こういった変化に自分で気づくことができるケースもあれば、周囲の人間が先に異変を察する場合も。
うつ病の改善には、薬物治療・精神治療(カウンセリング)と休息が必要です。

アルツハイマー型認知症

認知症のなかでもっとも多いのが、アルツハイマー型認知症です。
脳の萎縮によって記憶力が低下していく病気で、80歳以上の人のうち20%以上はアルツハイマーだとされています。
しかし若年性アルツハイマーも増加しつつあり、その原因のひとつが睡眠不足
睡眠不足の人は、十分に睡眠をとれている人と比べて発症率は5倍にはねあがります。

アルツハイマーの原因は、βアミロイド(たんぱく質の一種)が脳の神経細胞を損傷するから。
通常、βアミロイドは睡眠中に分解されますが、十分に眠れなければ分解されなかったβアミロイドがどんどん溜まってしまいます。
βアミロイドの分解には6時間以上の睡眠が必要。不眠症の人は毎日少しずつβアミロイドを蓄積している状態なので、アルツハイマーの発症率は高まります